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日本人は、ほぼ全員が公的な(=国が運営する)保険に加入しています。そのうえで、生命保険、がん保険、介護保険、医療保険、年金保険などなど、さらに上乗せして民間企業の保険に入る方が多いようです。今回は、CMなどでよく目にする民間保険が本当に必要なのか、考え方をマスターしましょう!
※今回、損害保険(火災保険や自動車保険など)については述べておりません。
もくじ
- 1 民間の保険が必要な人
- 2 保険の基礎知識
- 2.1 保険とは
- 2.2 国の保険が様々なリスクをカバー
- 2.3 国の保険FAQ
- 2.3.1 Q.社会保険って健康保険のこと?
- 2.3.2 Q.健康保険に入るとどんなメリットがあるの?
- 2.3.3 Q.会社員・公務員以外は入れないの?
- 2.3.4 Q.健康保険と国民健康保険はどっちが良いの?
- 2.3.5 Q.健康保険が、国民健康保険より優れている点は?
- 2.3.6 Q.健康保険が、国民健康保険より劣っている点は?
- 2.3.7 Q.社会保険料はいくらなの?
- 2.3.8 Q.加入していない場合はどうなるの?
- 2.3.9 Q.加入した記憶がないんだけど、大丈夫かな?
- 2.3.10 Q.社会保険の補償額だけでは、ちょっと不安に感じるんだけど?
- 2.3.11 Q.国が運営している保険の方が安心できるのはなぜ?
- 3 民間保険が必要になる時
- 4 まとめ
民間の保険が必要な人
結論から言うと、民間の保険が必要な人は、自分で養う家族がいて、貯金が少ない人です。
自分が養わなければならない家族がいて、貯金が少ないなら、自分に「もしも」のことがあった場合に備えて、保険に入るべきです。
反対に、養う家族がいない人や、貯金が潤沢にある人は、保険が不要です。
えー!おじいちゃんが「保険には入っとけ」って言ってたけど…!?
そういう方も多いですよね。この記事を読んで、その保険、本当に必要かどうか考えてみてください。
保険の基礎知識
はじめに、保険の基礎知識をおさらいしておきましょう。
保険とは
誰もが起こり得る不測の事態(=リスク)に備えるため、みんなで少しずつお金を出し合って貯めておき、いざ不測の事態が起きてしまった人に、貯めておいたお金を支払うことでダメージを軽くする仕組みです。
不測の事態とは、例えば次のようなことです。
- 交通事故で障害が残り、働くことができなくなった
- 重い病気にかかり手術などで数百万円の治療費がかかる
- 放火に遭い、自宅が全焼してしまった
ちなみに、保険会社は集めたお金を管理し、支払いの事務作業などを行っています。
国の保険が様々なリスクをカバー
日本の会社員・公務員とその扶養家族は、国が運営する社会保険に加入しています。社会保険は、病気・ケガ・働けなくなるリスクに備えることができる、非常に有用な保険です。社会保険に入っていることで、民間企業が運営するその他の多くの保険は不要となります。
国の保険FAQ
それでは、Q&A形式で社会保険についてドドっと確認していきましょう。
Q.社会保険って健康保険のこと?
A.健康保険のほか、厚生年金保険や雇用保険など、国が運営する保険をすべてひっくるめて「社会保険」といいます。ただ、一般的には、社会保険というと健康保険(=医療保険)のみを指す場合も多いです。次の5種類とキーワードのセットだけは把握しておきましょう。
- 健康保険 = 医療保険、保険証
- 介護保険 = 40歳から支払う
- 雇用保険 = 失業手当
- 労災保険 = ケガしたとき、労災
- 厚生年金保険 = 年金の上乗せ
Q.健康保険に入るとどんなメリットがあるの?
A.病気やケガなど、不測の事態に備えることができます。主なメリットは次の2点です。
- 病院や診療所でかかる治療費などが7割引となり、3割の負担で済みます。病院で2万円かかっても、支払いは2万円×30%=6,000円です。
- 医療費がひと月あたり約10万円を超えると、それ以上は無料になります。例えば、大きな病気にかかってしまい、月の治療費が200万円かかったとしても、負担額は約10万円で済みます。
Q.会社員・公務員以外は入れないの?
A.会社員・公務員以外(個人事業主など)は健康保険ではなく、国民健康保険に加入することになります。名前も中身も似ていますが、別物です。今回は説明を割愛します。
Q.健康保険と国民健康保険はどっちが良いの?
A.どちらにも長所・短所があるため、どちらが良いかは人により異なります。どちらも国が運営する良い保険です。
Q.健康保険が、国民健康保険より優れている点は?
A.この2つを比べた時の健康保険のメリットは次のとおりです。
- 保険料の半分を会社が負担してくれる
- 入院や出産時にお金を受け取れる制度がある
- 扶養認定制度があり、加入者の配偶者や子供の収入が一定以下なら、追加の保険料ナシで一緒に加入できる
Q.健康保険が、国民健康保険より劣っている点は?
A.この2つを比べた時の健康保険のデメリットは「収入に比例して保険料が高くなること」です。
Q.社会保険料はいくらなの?
A.給料の額(標準報酬月額)や住んでいる場所などによって異なりますが、だいたい給料の15~20%ほどです。多く稼いでいる人ほど社会保険料も高くなります。
Q.加入していない場合はどうなるの?
A.社会保険の加入は法律で定められています。未加入の場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
Q.加入した記憶がないんだけど、大丈夫かな?
A.保険証があるなら、加入しているので大丈夫です。会社員・公務員であれば、勤め先でほぼ強制的に加入しており、毎月の給料から天引き(自動で徴収)されています。また、子どもの場合は、保護者(扶養者)の健康保険等に一緒に加入していますので、大丈夫です。
Q.社会保険の補償額だけでは、ちょっと不安に感じるんだけど?
A.その場合、“不安に感じなくなる額”を貯蓄しておく必要があり、その額に到達するまでの間は、民間保険への加入をふくめ、何らかの対策を検討することになります。ただし、民間保険に加入すれば、補償が手厚くなる分、貯蓄のペースは遅くなりますので、バランス感覚が求められるところです。
Q.国が運営している保険の方が安心できるのはなぜ?
A.国が運営する保険の方が、お金が確保しやすいからです。国が運営する社会保険の財源は、会社員や公務員から強制的に徴収される保険料です。また、税金も多く投入されており、たくさん納税した人や企業に支えられています。一方で、民間の保険は強制加入ではありません。どちらが安定した運営ができるか、差は歴然!
民間保険が必要になる時
ここまでは国が運営する社会保険について書いてきました。大変お疲れ様でした…!
ここからは社会保険を踏まえ、民間保険が必要になる時についてまとめていきます。
養う家族がいる場合は検討
養わなければならない家族がいる場合は、民間保険を検討する余地があります。
社会保険は病気・ケガ・失業といった出来事に対してのフォローは手厚いですが、死亡への対応はやや不十分です。
具体的には、遺された家族は遺族年金(遺族基礎年金と遺族厚生年金)を受給できるものの、その金額はだいたい年間100万円ほどです。
このお金だけでは、ゆとりある暮らしは難しいでしょう。遺された家族に幼い子供がいる場合などは、将来の学費などを支出できずない恐れがあります。(教育費は年々高くなっています)
そのため、養う家族がいる場合は、必要額から逆算して、民間保険を検討しましょう。
貯蓄が十分な場合は不要
養う家族がいる場合の例外として、貯蓄が十分にあるなら、民間保険は不要です。貯蓄が十分にあるなら、一家の稼ぎ柱に「もしも」のことが起きても、困窮する人がいないからです。
遺産はできるだけ多く残したいから民間保険にも入っておきたい!
この気持ちも理解できます。でもそれだったら、民間保険に入るためのお金を、自分が生きているうちに、大切な人のために使っていく方が良いんじゃないかなと私は思います。
養う家族がいないなら不要
反対に、養う家族がいないのであれば、民間保険は不要です。例えば、独り身で親も健在な場合。このケースでは、たとえ自分に「もしも」のことが起きても、困窮する人がいませんので、保険をかける必要がないのです。
番外編 自分が働けなくなるリスクは?
社会保険にふくまれる傷病手当と障害年金により、ある程度はカバーできます。民間保険は支払い条件があいまい(鬱による休職・退職への支払いなど)なので、貯蓄で備えることが無難でしょう。
まとめ
日本には国が運営する社会保険があるので、民間保険は不要となるケースが多いです。必要な方のみ、しっかり民間保険に入って、リスクに備えましょう!
※なお、今回は損害保険(火災保険など)については言及しておりません。
通常のブログ記事ですと、ここで「おすすめ保険会社のリンク」がバチバチに貼ってあるかと思います。そういったものを使う場合は、十分に慎重になってくださいね。基本的に情報というものは、書き手にとって都合の良いことしか書かれていないものだからです。誰でもどんな情報でも発信できる時代です。ネットの一記事のみを鵜呑みにしないようにしましょう!
…と言いつつ、おすすめ書籍は紹介します。笑
岩瀬さん(ライフネット生命保険の創業者)の著書が分かりやすいです。あと薄いので読みやすい。笑