ウエスタンランドとアメリカ西部開拓時代【ディズニー世界史】

こんにちは!らいむら先生です。

今回のテーマはアメリカ西部開拓時代

東京ディズニーランドのウエスタンランドは、19世紀のアメリカ西部開拓時代を舞台にしており、時代にマッチしたアトラクションやレストランが多数存在します。

今回は、そんなアメリカ西部開拓時代の歴史を簡単にまとめました。アメリカ西部開拓時代への理解を深めて、ディズニーランドをまた違った視点で楽しみましょう!

はじめてのアメリカ西部開拓時代

なんで西部を開拓したの?東部は?

最初にアメリカ大陸へ移住したのは、1600年前後のスペイン人やイギリス人でした。彼らは船でアメリカ東海岸の北部と南部に到着したため、アメリカの開拓は東から西に向かってじわじわと行われました。

↓イギリス人が上陸した地、ケープコッド。シーのケープコッドのモデルの1つにもなっています。

特に次の3つの出来事が、西部開拓を推し進めました。

  • ルイジアナ買収(1803年): アメリカがミシシッピ川より西の領土を取得
  • インディアン移住法(1830年): 先住民を西部へ移住させる政策
  • 移住ルートの確立(1840年代): 多くの開拓者が西部に向かう

「フロンティア」とは、未開の地という意味です!

なんで未開の地に移り住もうと思ったの?

ヨーロッパの人々は、最初は宗教の自由を求めてアメリカに移住してきました。

16世紀、イギリスではイギリス(イングランド)国教会という新たな宗教が成立しました。

これはキリスト教をベースにしつつ、イギリス国王を首長とするものでした。

この新宗教に対し、

  • 「キリスト教の教義への理解が十分でない!」
  • 「もっと改革していくべきだ!」

と反発した人たちをピューリタン(清教徒)と呼びました。キリスト教ガチ勢たちのことですね。

ピューリタンの語源はpure(ピュアな、純粋な)。キリスト教の教えに対して激烈にpureだったわけです。

17世紀、このピューリタンたちに対して、イギリス国内での弾圧が激しくなってきたことから、ピューリタンの一部は宗教の自由を求めて、アメリカ大陸に渡りました

このほかにも、迫害や内戦から逃れるため、ヨーロッパの人々がどんどんとアメリカへ移住していき、未知の土地を切り拓いて、新たな生活を築いていきました

これぞフロンティア・スピリット!

勇気・挑戦・独立といったメンタリティは、現代アメリカの国民性にも表れているように思います。

なんで鉱山や鉄道がよく出てくるの?

鉱山、鉄道、つるはし。これらはすべてアメリカ西部開拓時代の象徴で、ゴールドラッシュと深くかかわっています。

1848年にカリフォルニアで金鉱が発見されたことにより、一攫千金を目指して西部へ行く移民が爆発的に増加しました。実際の数字は以下のとおりで、4年間で17倍以上に増えました。

西暦人口
1848年14,000人
1850年92,000人
1852年250,000人
カリフォルニアの人口推移

これにより、人やモノを効率よく輸送する手段の確保が急務となり、鉄道の拡張が進みました。

1869年には大陸横断鉄道が完成し、西部のゴールドラッシュ地域へのアクセスやコストが劇的に改善され、西部地域の経済成長がさらに進みました。

この圧倒的な影響・インパクトから、アメリカ西部開拓時代というと、ゴールドラッシュの時代を指す場合が多々あります。

ウエスタンランドは、ゴールドラッシュの時代を反映しているんだね!

カウボーイって何をする人?

カウボーイとは、西部開拓時代に牛や馬の放牧や飼育を行った労働者のことを指します。以下の代表的なカウボーイのアイテムは、すべて牛の群れをコントロールするためのものです。

  • ロープ: 牛を捕まえる
  • : 移動手段
  • ブーツ: 馬上作業に適している
  • カウボーイハット: 日差し除け
  • : 強盗や獣から牛を守る

あれ、カウボーイは保安官とは違うの?トイストーリーのウッディは、保安官だったような…

カウボーイと保安官は別々のものです!ウッディは両方を兼任していますね。

  • カウボーイ: 牧場・畜産業の労働者
  • 保安官: まちを守る。群を管轄し、選挙で選出される
  • 警察官: まちを守る。市を管轄し、首長に任命される

アメリカの行政単位は州>群>市・町・村になっていますが、日本のように市町村がびっしり埋まっているわけではなく、群の中には市町村が存在していないスキマがあります。そういった場所が保安官の主戦場となっています。

先住民たちとは仲良くしていたの? 

アメリカ大陸の先住民であるネイティブアメリカン(インディアン)との衝突は避けられませんでした。

移民の増加に伴い、先住民は土地を侵略されました。先住民の多くは、自らの領土を守るために武力で抵抗し、アメリカ政府との間で「インディアン戦争」と呼ばれる数々の衝突が発生し、多くの犠牲者が出ました。

次の2つは、アメリカ西部開拓の負の側面を象徴する史実となっています。

  • サンドクリークの虐殺(1864年): 子ども・女性・老人を含む無抵抗の先住民を無差別に虐殺。
  • リトルビッグホーンの戦い(1876年): 先住民の部族連合がアメリカ軍を壊滅。先住民の連帯の象徴とされる一方、アメリカ政府による西部開拓の加速と、先住民への圧力を強める結果となった。

このような様々な衝突や犠牲があって、現代の社会システムが作られています。

「インディアン」という呼び名でいいの?

当時はインディアンと呼ばれていましたが、現在は「ネイティブアメリカン」という呼称が正しいです!

アメリカ大陸を発見したコロンブスは、当初インドに到着したと勘違いしていたことから、先住民は「インディアン」と呼ばれていました。

しかし20世紀後半以降は、「ネイティブアメリカン」という呼称が広がりました。これには、彼らがアメリカ大陸の先住民であることを明確に示し、文化や歴史を尊重する意味が込められています。

◆関連:ポリティカル・コレクトネス(政治的妥当性)とは?

差別や偏見を生まないよう中立的な表現を使用すること。通称ポリコレ。具体例は以下のとおり。

  • インディアン →ネイティブアメリカン
  • 看護婦・看護士 →看護師
  • 肌色 →うすだいだい、ペールオレンジ
  • 痴呆症 →認知症

西部開拓時代はどんなご飯を食べていたの?

移動が多かったことから、保存がきく食材や調理法を用いた簡素なものでした。調理する際も、屋外でのキャンプファイヤーが主流。

  • 塩漬けした肉
  • 乾燥させた肉
  • 燻製にした肉
  • 乾燥豆、乾燥野菜
  • じゃがいも、玉ねぎ、トウモロコシ

プチまとめ

アメリカ西部開拓時代のポイントを時系列でまとめると次のとおりです。

  • 1803年: ルイジアナ買収
  • 1830年: インディアン移住法
  • 1848年: ゴールドラッシュ
  • 1869年: 大陸横断鉄道完成
  • 1870年代: 先住民との戦闘や土地の買収が続く

このあと、1890年に「西部フロンティアの終焉」が宣言され、開拓時代は終わりを告げます。

次のパートでは、東京ディズニーランドで見ることのできる、アメリカ西部開拓時代の仕掛けや表現をチェックしていきましょう!

東京ディズニーランドとアメリカ西部開拓時代

東京ディズニーランドでは、ゴールドラッシュによって急速に発展していく西部の町が、ウエスタンランドのモデルとなっています。具体的には…

  • 蒸気船マークトウェイン号
  • トムソーヤ島いかだ
  • ビッグサンダー・マウンテン
  • ウエスタンランド・シューティングギャラリー
  • カントリーベア・シアター

の周辺です。

ここからは、それぞれのレストランやアトラクションの、どういった点に注目して見ると良いかを解説していきます!

蒸気船マークトウェイン号

アメリカの冒険小説作家「マーク・トウェイン」の名前を冠した、大型の蒸気船。ノックス船長とともに、環状のアメリカ河をぐるりと周るアトラクションです。

アメリカ河は、ミシシッピ川がモデルになっています!

マーク・トウェインは、ミシシッピ川の蒸気船の操縦士として働いていた経験を活かし、「金ぴか時代(金メッキ時代)」「トム・ソーヤーの冒険」などを執筆した作家です。

航行中は、「マーク・トウェイン」という言葉の由来についても解説がありますので、景色を楽しみながらアナウンスにも耳を傾けてみてください!

トムソーヤ島いかだ

マーク・トウェインの同名小説の世界観を、そのまま取り入れたエリアです。

いかだに乗ってアメリカ河を渡り、島の中を自由に散策できます。子ども連れには特におすすめ!

ビッグサンダー・マウンテン

ゴールドラッシュが過ぎて数十年経った鉱山が舞台です。機関誌のいない鉱山列車が猛スピードで駆け抜ける様子は、

  • 急速に進んだ町やテクノロジーの発展と、
  • 開拓者たちが直面した恐怖や不安感

を表しているのかもしれません。

102cm以上で搭乗可能!

ウエスタンランド・シューティングギャラリー

保安官バッチの獲得を目指して?、銃を撃つアトラクション。

当時の銃は、治安維持や自己防衛のほか、狩猟によって食料を確保したり、動物の皮を売って生計を立てたりすることにも使われていました。

木をいっぱいつかった建物も開拓時代っぽいね!

ここを含め、ウエスタンランドの建物は丸太を積み上げたログハウスが多くなっています。開拓時代においては、

  • 木材が潤沢にあった
  • 手早く簡単に組み立てられる家が求められた

これらのことから、ログハウスは理想的な住居形態となりました。

カントリーベア・シアター

陽気なクマたちのカントリーミュージックショー。

アトラクションの入口からエントランスは、西部開拓時代のサルーン(酒場)を模したデザインになっており、ログハウスにスイングドアが使用されています。

まとめ

今回はアメリカ西部開拓時代をテーマに、ウエスタンランドを紹介しました。前回のニューオーリンズ同様、本当に書いていて楽しい。笑

皆様も、記事の内容をぜひ確かめに行ってみてください!楽しいディズニーライフを!

ではまた!